スローアングラーズライフ ~atlantic night tales~ 良書 「ベールアームは世界を回る」 納得の1冊

良書 「ベールアームは世界を回る」 納得の1冊

5年ほど前につり人社から「ベールアームは世界を回る 著:國吉昌秀」という本が出版されていました。


アトランティックな夜 Atlantic Night Tales


 手にして見る機会が無く購入をためらっていましたが、Googlブックスのプレビューを見て購入しました。


本書のプレビューはこちらで
http://books.google.co.jp/books?id=bXG6DHsMRR8C&printsec=frontcover&hl=ja#v=onepage&q&f=false


ためらっていたのは、この手の本の多くはメーカーや販売代理店のヒモ付きのカタログ本だったり、その筋のマニアが監修しているためか礼賛ばかりのアオリ本だったりするからです。


ところが、この本は違います。


歴史的な考証を多くの実物や印刷資料を元に論じています。


著者の眼目は、スピングリールの始まりと改良、世界的に主流のフィッシングリールになっていくまでの経過を論考することです。


著作の前半は1940年代以前のリールについて、後半が1950年代から1970年代となっています。


(なみ平の私的要約)
 英国の産業革命を背景に生まれたフィッシングリールは、一旦は両軸のマルチプライングリールに発展しますが、英国ではあまり受け入れらません。


 両軸のマルチプライングリールは米国のケンタッキーリールと呼ばれるバス釣り用、ニューヨークリールと呼ばれる投げ釣りや船釣り用、トローリング用など分化して改良されつつ広まっていきます。


 一方、英国では、片軸受けリール、フライリールのようなリールでのキャスティングが定着し、その欠点や不便さを克服するために、サイドキャスターと呼ばれる片軸受けの横転リールの時代を経た後、スピニングリールの原形が生まれたのです。


表紙の写真、イリングワース-1 がそれです。



 その後、特許が消失して様々な、今から見れば奇天烈(キテレツ)としか思えないデザインのリールが作られますが、ハーディー社によってフルベール方式のスピニングリールが発明されて、現代のフルベールスピニングの原形となります。



アトランティックな夜 Atlantic Night Tales


 第2次世界大戦終了後、欧州諸国でスピニングリールが製造され米国に輸出されました。


 1954年、ハーディーの保有していたフルベール方式の特許が切れた後、欧州諸国のスピニングもフルベール方式となり、フランスのミッチェルが大ヒットしました。


 当時の米国では、両軸リールが主流で、米国の釣り具メーカーはスピニングリールの自社製造を試みますが、利益を生み出しやすいOEMに傾いて行きます。


 OEMのスピニングは主に日本製ですが、初期の日本製は欧州製品のコピーでした。


 その後、高度経済成長の中、日本製のリールが世界を席巻することになるのですが、円高の時代になってから輸出をメインにしてきた国産メーカーは生き残ることが出来なかったのです。


(感想)
 僕のオールドリールへの感心は1960年代の国産の輸出モデルがどれだけ優れていたのか知りたかったことから始まります。


 スピニングの歴史などにはあまり感心が無かったのですが、それは、本書に書かれているような逸話を知る機会が無かったからだと思います。


 それゆえ、このよう著作を書かれた筆者の方に敬意を捧げたいと思います。


 1960年代国産といえば大森製作所(ダイヤモンド)と稲村製作所(ロディー)ですが、本書で稲村製作所のリールについて殆ど触れていないのは残念な部分です。


 ダイワに吸収合併される以前の稲村のリールは、ヘドン、バークレイ、フルーガーなど米国の各社の他、米国ダイワにも多くのモデルがOEMされていました。


 この部分は著作者があまり感心が無かったようですし、ダイワ関係者にとってみれば、当時のことは知られたくない部分なのかもしれません。


 あとTAICO(太鼓)というブランドの国産リールが紹介されていますが、これは見物です。


 TAICOは1940年代から、米国にコピーリールを輸出していたようですが、なかなかに面白そうなリールが多いお洒落なブランドなんです。


 スピニング、スピンキャスト、ベイト、海用両軸、フライなどいろいろありますが、本書ではタイトル通りスピニングが紹介されています。


 僕の好きな英国J.W.YOUNGは1970年代に米国シェイクスピアの傘下に入ってしまい、シェイクスピアブランド向けのOEM製品(フライリール)を作るようになり、品質を落とさせられたという内容の記述には注目でした。


 僕のかかえていた謎がひとつ解けたからです。


 以上、個人的な思いを書き連ねましたが、オールドリールについてネットで調べてみると断片的には存在しますが、本書のようにまとまった、体系的なものはそうはありません。


本書では英国の初期、欧州の第2次大戦後などスピニングリールの写真も記述も素晴らしいですからオールドリールに感心を持つ方には最高の1冊だと思います。


 ただオールドリールは写真で見たりしても、保有して飾っていても、本当のことは判りません。


 使ってみてなければ判らないこともあるのだと思います。・・・道具ですから。


片軸受けのキャスティングリール(例えばサイレックス)の使用感など興味津々です。



(著作者を紹介するブログサイト記事)
GT Hunter's EXtra ORdinary リポート
「でも、九州でできた事・・・」。
http://gt-exor.blogspot.jp/2009/10/blog-post_30.html

関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

4. Re:ご無沙汰しています

>はっちさん

中古本で安く手に入りますから、ネットで探してみてはどうでしょうか。
大森は今でも、評価が高いし、一部マニアに人気で価格もも高めですね。

季節の変わり目、はっちさんも風邪引きには気をtけて下さいね。

3. ご無沙汰しています

最近、大森リールについて興味深々です
この本はすごく面白そうですね^^
わたしも入手してみたくなりました

体調戻られましたでしょうか
元気な記事楽しみにしております^^

2. Re:ご無沙汰いてしております

>じゃこごうこさん

スピニング発明初期からの変遷としての資料価値は抜群ですね。

国産ポンコチは、やはり「じゃこ」さんにかないません。

1. ご無沙汰いてしております

おお、これは当方も所有しております。

国産贔屓のぼくにはちょっと物足りない部分もあるのですが、必読の一冊であることはまちがいありませんね。

やっぱりぽんこちはイイ(笑)
最新記事
最新コメント
カテゴリ
リンク
フリーエリア
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる